■予想外

「…」
「?どうしたんです?ユーリ」
「いや…、随分戦い慣れしてるんだな」
「ん?まあこれでご飯食べてるし…」
「は?」
はグランヴィルの剣術指南役なんですよ?」
「…そうだったのか?」
「あれ?言わなかったっけ」
「聞いてねぇ」
「あら」
「…、もしかしてフレンが剣を教わってるって奴って」
「………何故それを」
「いや本人から」
「…そこで少しくらい“行きすぎじゃねぇ?”とか言って止めてほしかった…」
「あいつそんな行ってたのか…」
「愛されてますねぇ
「何で今の会話でそう繋がるのエステル…」



■門外不出

の魔術って詠唱してませんよね」
「え?あ、ああうん…まあ」
「そんな魔術なんてあるのか?」
「本で読んだことはないですが…」
「あー…うーん…何って言ったらいいのかな。簡単に言うと…」
「言うと?」
「実はに伝わる秘伝の魔術で、の血筋の者しか知ることのできないし、扱えないの…それを外部の者が知ると…」
「し、知ると…!?」
「それはもう筆舌に尽くしがたい恐ろしいことの限りを…あでっ」
「何言ってんだお前」
「ユーリ痛い」
「お前が変な事を吹き込もうとしてるからだろ」
「いや、割かし本当の事」
「「え」」
「私が知る限りで一族以外の人に漏れたとは聞いてないから知られた時の対処法は知らないけど、
うちの一族しか知らないのと扱えないのは本当。ついでに門外不出なのも本当」
「……、お前一体何者だよ…」
「秘密ー」

(まあ異世界の術について言ってもあれだしね…)



■犯罪者?

「しかし…騎士団に喧嘩売って捕まって脱獄…」
「何だよ」
「いや?フレンに斬られるユーリが目に浮かぶようだーって思って」
「やめてくれ笑えない」
「いっそ一回斬られればその喧嘩腰も治るんじゃないかな、ねーラピード」
「わふっ」
「お前にだけは言われたくねぇ」
「何でよ」
「酒場でごろつき相手に取っ組み合いしたって聞いてるぞ」
「………」
「俺が斬られる時は問答無用でお前も斬られるんだな」
「そんな殺生な!」



■グランヴィル

「そーいやグランヴィルだっけ?どんな奴なんだ?お前の雇い主」
「奴……まあいいか…奥様の方だよね?うーん…一言で言うと、豪胆?」
「昔は騎士団に所属していたと聞いた事があります私」
「あーそーいやそんな話も…詳しくは知らないけどね」
「そうなんです?」
「うん。あの人全然昔の事話さないから…いや、私が聞かないせいもあるんだろうけど」
「聞けばいいじゃねぇか」
「うーん…いや、あんま過去って蒸し返したくないじゃない?」
「そういうものです?」
「そういうものだよ」

「…それはその奥様、の話か?」
「…さあ?」
「…」



■フレン

「…ところでユーリ」
「ん?」
「剣を教わってるとか色々フレンから聞いてたみたいだけどどんな風に私の事言ってたの?フレン」
「あ、私もそれ聞きたいです」
「あー…いや、剣技の件だけはフレンのやつがぼかしてたから結びついてなかっただけだ」
「ん?そうなの?」
「お前が強いって分かったら俺が挑むとか思ってたんだろ」
「あ、あー…なるほど…じゃあ他には?」
「―…、まあ本人にでも聞けばいいだろ」
「どうしてです?」
「俺が言うと後であいつに斬られる気がするからな…」
「「?」」



■騎士団

って騎士団でも有名なんですよ」 「そうなのか?」
「んー…まあ奥様関係で少々…?」
「ああなるほど。騎士団には入らないのか?」
「うん。手伝う事はあるかもしれないけど入るのはないねー」
「前もそう言ってましたけど何でです?」
「…まあ、色々と事情がね」

「やましい事でもしてんのか?」
「ユーリじゃあるまいし」
「てめ」






20111031