少女が目を覚ますとそこは見知らぬ土地だった。
見知らぬ建物、見知らぬ空、挙句の果てには空には見た事のないリングのような不可思議物体も浮かんでいる。
少女は一度両目を擦った。もちろん景色は変わらない。
二度擦った。やはり変わらず、今度は少女の顔が引きつった。
少なくとも少女が昨日就寝するまで留まっていた街ではないことは明らかだった。
日本のどこにこんな空にリング(のようなもの)が浮かぶそれも洋風の街があるというのだろうか。
夢かと思い頬を抓る。痛かったらしく頬をさすった。
夢ではないらしい、ではここはどこだ?
少女は混乱しながらも現状を把握しようと立ち上がる。
芝生の上に寝転がっていたせいでワイシャツに少々草がついているが気にしている場合ではない。
立ち上がってみると改めてここがどこなのか分からなくなった。
歩き回ってここがどこかを確認するのもいいだろうが、果たして現在地がどこかも分かっていないのに
ふらふらと彷徨って大丈夫なものだろうか、少女はそう悩み眉間に皺を寄せる。
しかし今ここで悶々と考えている方がダメだろうと早々に結論づけて彷徨う事を決意する。
何かここがどこなのか分かるものが見つかるといいけど、とその芝生を囲うように設けてある生垣に足を踏み入れた。
少女は気付くべきだった。生垣があるという事はそこは誰かの所有する敷地だと。
「…あら…?」
少女は気付くべきだった。自身が寝ていたのがその誰かの所有する屋敷の庭であったことに。
少女がその2点に気付いたのは、生垣から半身を出したとき、つまり。
「あらら?」
「………………どう…も…?」
屋敷の主がティータイムと称して優雅に外で紅茶をすすっている場面に鉢合わせしたときだった。
00.どう考えても不法侵入
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20110922